3 なぜEthanimなのか

 十数年の月日を経て、ブロックチェーンは世間が注目する進展を遂げました。2008年にビットコインがブロックチェーンを持って価値の保存を実現して以来、そのネットワークバリューは1兆ドルを超えたこともありました。2014年に登場したイーサリアムは、スマートコントラクトという概念をブロックチェーンに引き入れ、多くの開発者がその上で数多くの分散型アプリケーションを生み出すに至りました。近年では、さらに多くのブロックチェーンプロジェクトがそれぞれのテクノロジーをもって次々と出現し、ブロックチェーン業界はにわかに急成長の様相を呈しました。

 一方、メタバースは数多の大規模アプリケーションからなる永続的なバーチャル世界です。ユーザーはこの中で仕事をし、買い物をし、友人とコミュニケーションをとって、情報や時には金融サービスにまでアクセスして、それぞれの生活を享受することができます。しかし惜しむべきことに、既存のブロックチェーンプラットフォームでは依然としてこうした複雑な計算を必要とする大型アプリケーションをサポートすることはできないのです。

 現在、メタバースを標榜するアプリケーションのほとんどが、アプリケーションのトークンあるいはNFTをブロックチェーン上で発行するか、一部の簡易なビジネスロジックをスマートコントラクトで記述するのみで、アプリケーションの大部分のロジック計算は中央集権的なサーバーの上で行っています。これは本来、安全で分散化されたデジタル資産を逆に危険で中央集権的なプログラムで分配しているということであり、極めて皮肉であるばかりでなく、ある重要な問題もはらんでいるのです。つまり、アプリケーションは中央集権的な組織あるいは個人にコントロールされているがために、アプリケーションを停止するのも、その運用規則を変更するのも、彼らの自由であるという点です。あるいは、悪意のある攻撃や改ざんに対応できない場合もあるかもしれません。こうしたことは、ブロックチェーン上にあるデジタル資産の安全性と価値を根底から揺るがすものであり、ユーザーはこの不信感に満ちたバーチャル世界に取り残されることになるのです。これではメタバースを語るにも足りません。

 想像してみてください。例えば、あなたはあるゲームがつくったバーチャル世界に大量の時間とお金を費やし、あなたを満足させるためのバーチャルな身分、土地などのデジタル資産を得たとします。しかし、その後に運営側が規則を改変し、バーチャルな身分は社会的な地位がなく、土地もそれほど稀少でなくなったとしましょう。あなたはどうすることもできません。さらに、突然このゲームがサービスを終了し、あなたのデジタル資産はまだアカウント内にあるはずなのにも関わらず、これを使用できないばかりか、その姿すらも拝めなくなり、ただの電子ゴミに成り果てたとしたら、これほど悲しいことはないでしょう。したがって、人々のデジタル資産を預かる以上、メタバースアプリケーションは永続的であり、完全に分散化されていなければいけません。  そうだとすれば、なぜゲームやEC、SNSなどの大型アプリケーションをブロックチェーン上に構築し、これを分散化しないのでしょうか?これは人々の望むところですが、従来のブロックチェーンシステムの設計自体が、この問題の解決を極めて困難なものにしているのです。

 イーサリアムを例にとりましょう。もし、アプリケーション内の全ての計算ロジックをスマートコントラクトで記述した場合、Solidityが既存のアプリケーション開発に対するサポートの可否、コントラクトの計算量の大小などを考慮しなかったとしても、任意のロジックを実行させるためには、万単位に上る全てのノード間でコンセンサスに至る必要があります。これは大量の時間を消費し、さらにブロックチェーン上の毎回の計算には安くない手数料がかかります。メタバースの中で旅行を楽しみたいとして、一歩進むたびに10分以上待たされ、さらに数十ドルの手数料がかかるとしたら、誰が喜んでこの空間を体験したいと思うでしょうか。

 こうしたブロックチェーンの限界は、多くの人が感じているところであり、近年は多くのエンジニアの努力によって、ブロックチェーンをより快速にする新しい技術:例えば、シャーディング、サイドチェーン、オフチェーン、Layer2、新たなコンセンサスアルゴリズムなどが出始めています。これらはブロックチェーンのスループットを著しく上昇させ、DeFiやNFTなどのアプリケーションを、遅くて高額な取引という束縛から開放し、ブロックチェーンの裾野を広げ、そのエコシステムにも活気が満ちてきました。

 しかし、ゲームやEC、SNSなど、大型で複雑、頻繁に計算が必要なアプリケーションに相対した時、これらの技術では、依然として太刀打ちできないのです。特に、多くの人が同時にオンラインになる大型アプリケーションで、全ての計算をブロックチェーン上で行うとすると、現在最も性能が良いとされるパブリックチェーンを使用したとしても、たった一つのサービスしか起動することができません。

 どうしてこのようなジレンマが生じるのでしょうか。その問題の原因は既存のブロックチェーン技術の限定性にあるといえます。ビットコインは、偉大な開拓者である”初代ブロックチェーン”として、その分散化されたシステムを保つためにノードが無条件で自由に出入りできるようにしなければいけません。しかし、そのためにはノード間で一貫した台帳データを受け入れることができるルールを定義する必要があり、これがいわゆる”コンセンサス”ということになります。ビットコインはPoW(Proof of Work)、つまり仕事量による証明を生み出しました。これは一種の競争によるコンセンサスアルゴリズムで、後のイーサリアムもこのコンセンサスアルゴリズムを採用し、この基礎の上に改良を加えています。ビットコインを中央機関の管理がない状況下で十数年も安定運行させているのがこのPoWであり、これは分散型システムにおける非常に優秀なコンセンサスアルゴリズムであるといえます。しかし、その限定性は顕著で、PoWは、ビットコインやイーサリアムなどの分散型ネットワークのセキュリティを確保する一方で、コンセンサス速度の遅さと深刻なエネルギー消費のために、より多くの大規模な分散型アプリケーションのスケーラビリティに対するニーズを満たすことができなくなっています。

 その後、実に多くのコンセンサスアルゴリズムが誕生しました。例えば、現在、広く採用されているPoS(Proof of Stake)、つまり権益による証明は、エネルギー消費を抑えて、コンセンサス速度を大きく向上させましたが、”信頼できないノード間でコンセンサスを得る”という道からはやはり逃れられません。どのような投票方法を採用したとしても、複数人の間でコンセンサスを得てその結果に従うのは、自分で意思決定する場合の速度と比べ物にならないほど遅いのです。したがって、互いに信頼できないノード間でコンセンサスに至らなければならない分散型アプリケーションは、永遠に中央集権的なアプリケーションの計算速度に勝ることはなく、ユーザー体験もこれに比肩できるまで成長する望みはないのです。

 また、シャーディングや Layer 2 などの拡張機能もすでに分散型アプリケーションの取引速度を大幅に向上させましたが、これらの方式も畢竟、”信頼できないノード間でコンセンサスを得る”という基礎の上になりたっているもので、先述したジレンマは依然として存在しているのです。

 したがって、大型の分散型アプリケーションの実現は人々の望むところであり、インターネットの究極の形といわれるメタバースの実現にも欠かせない要素です。しかし、このようなアプリケーションを完全に分散化し、かつ中央集権型アプリケーションと同等のユーザー体験を提供することは、ブロックチェーン業界最大の難題となっており、全く新しい革新的な技術体系による解決が求められています。

 同時に、メタバースは異なる種類のアプリケーションを組み合わせて運用し、さらにアプリケーション間での接続も頻繁に行われることが想定されます。しかし、既存のアプリケーションはそのほとんどがクローズドな環境下にあり、相互のやりとりが難しい状況にあります。これは、ユーザーの行動、デジタル資産の価値の体現および流通に深刻な制限を課すものであり、もしメタバースアプリケーション間のエコシステムがお互いにつながらければ、本来の意味におけるメタバースを実現することは困難です。

 こうした状況を鑑み、Ethanimは既存のブロックチェーンプラットフォームとは異なる新しいソリューションを採用。トラステッド・コンピューティング技術の領域で10年以上の蓄積がある自社開発のブロックチェーンシステムである「Trias Layer-1」をアーキテクチャ基盤として使用することで、従来のブロックチェーンの合意形成の手法に革命をもたらしました。すなわち、「信頼できないノード間で合意を求める」という従来の手法を「信頼できるノードを作り、計算を行わせる」という手法に転換したのです。これにより、ノード間のコンセンサス速度がノード数や計算量などの影響を受けなくなり、ほぼ瞬時に合意形成ができるようになります。また、無限と言ってもいい拡張性を備えることで、大量の大型分散型アプリケーションの同時運行をサポートできるだけでなく、1つの分散型アプリケーションで大量のユーザーを同時にホストすることができます。TPSがもはやブロックチェーンにとってのアキレス腱ではなくなるのです。

 さらにEthanimは、エッジコンピューティング、仮想GPU、分散型ストレージなどの技術をモジュール化し、プラガブル・ブロックチェーンと組み合わせることで、メタバースの総合的ソリューションを形成します。システムは無限に拡張することができ、大規模な分散型アプリケーションが従来のアプリケーションと同等の性能、ユーザー体験、開発方法をサポート。同時に、豊富な資産と相互運用可能なプロトコルにより、アプリケーション間の柔軟な連携を実現し、メタユニバースを真に実現することができます。

 それではこれから、Ethanimの詳細をご説明しましょう。

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